飲食店で新メニュー開発を考える際に大事なことは、あなたのお店の主力カテゴリー(売上構成比15%以上)にある商品で、かつ「顧客経験のなじみ感」のある商品に新しい価値を付加することだと思ってください。新メニュー開発だからといって、必ずしも市場調査を行う必要はありませんし、今までにないものをつくりだす必要もありませんし、目新しい食材を使う必要もなく、新メニュー開発はできます。
新メニュー開発は、必要です。なぜならば、新しい来店動機になるからです。
定番メニューだけでは、再来店客や常連さんの来店動機が広がりません。季節や月替わりのメニューがあることで、店への期待度が高まり、それが再来店につながります。
また店側にとってもメリットがあります。新メニューはお客さまとの接点を作り、それによって顧客とスタッフとのコミュニケーションの起点になってくれます。定番商品だけでは、常連さんはいつも通りのメニューを見て、いつも通りのオーダーをするだけですが、新メニューがあることで、お客さんから「これはどんなメニューなの?」といった会話が生まれるでしょうし、お店スタッフからもオーダー時に「今日のおすすめは~」といった接点を持つことができます。そしてその接点は、追加オーダーや再来店につながります。
冒頭でも申し上げましたが、飲食店のメニュー開発では、必ずしも市場調査やリサーチが必要ではありません。重要としているのは、企画段階での商品コンセプトの確認です。その確認のために、コンセプトシートの活用をすすめています。コンセプトシートは
① メインのお客様はだれか?
② 店の「顔」となる主力商品項羽製は?
③ お客様にとって、欲しくなる価値は何か?
④ 独自性ある強みをもつ商品群はなにか?
⑤ ④の強みをどのように売るか?「セールスポイント=フック」は何か?
⑥ 他店と差別化できる強みを持つ一番商品は?
⑦ メインのお客様が納得する値付けは?
⑧ 商品群の品ぞろえとその売上構成比率の目標は?
⑨ 自店の独自の強みを印象づける商品名とその商品のポイントは何か?
⑩ お客様は新メニューを満足・満喫できるだろうか?できるとすればそのポイントは?
といった内容です。コンセプトシートを使用することで、「お客様が求めるもの」と「飲食店が提供するもの」にズレがないかの整理ができます。繁盛店はそれが一致しています。
その上で、食材の仕入先の選定、原価計算、試食を行っていきます。まずは、コンセプトの確認を行ってください。
飲食店のメニューのリニューアルもメニュー開発と同様で、コンセプトにズレが生じていないかを確認します。
そのうえで、出数などから、メニュー自体の見直しや、メニューブックの配置の組換えや商品名の見直しなどを行っていきます。
新メニュー開発の秘訣は、「お客様の本能を刺激すること」です。
具体的なポイントとしては、ボリュームがあること、濃厚な味であること、などがあげられます。新メニュー開発で悩んだ時は、「この商品はお客様の本能を刺激するか?」ともう一度、考えてみてください。
新商品が完成しても、それで完成ではありません。お客様はメニューブックを通して新商品を知ります。つまり、そのメニューブックでの配置、そして特に商品名が重要なのです。
例えば、「鮭とキノコのバター焼き」という商品があったとします。これが、「今が旬!脂がのった秋鮭とキノコたっぷり濃厚バター焼き」と表現されていた場合、どちらを注文したいと思いますか?
メニュー名には注文したくなるような「欲望的表現=フック」が必要です。つまりフック表現は、行動のきっかけをおこす引き金になるのです。つまりメニューブックの商品名が行動=注文の引き金になるのです。フックには、ボリュームを表現するものから、本物感を表すもの、情報系、味覚系、食感系など、様々なものがあります。ぜひ、フックを取り入れたメニュー名を考えてみてください。
レストランと居酒屋では客単価が異なります。例えば居酒屋で目標客単価を3,000円と設定した場合、「客単価の原則」によって客単価を6で割った500円がメニューの中心(客予算)価格帯になります。寿司や焼き鳥、焼肉では客単価も異なりますし、商品の中心価格帯も異なります。そのことを念頭においたメニュー開発が飲食店のメニュー開発の重要なポイントです。
飲食店の主となるお客様が女性、家族の場合は、商品写真やイラストを入れてイメージしやすくします。写真は、商品特徴をうまく捉える見せ方を意識してみてください。ボリュームが見えるように高さを見せたり、ウエット感を出して味が見える工夫があるとよいですね。
一方で主となるお客様が男性の場合は、文字メニューでOKです。男性は左脳で受け止めます。日本酒などのメニューに、手書きの筆文字が多いのもそのせいです。
飲食店のメニュー開発で重要なことは、お客様が「ほしい!」と思う商品をつくることです。
価格の安さだけの競争はいつか疲弊します。だからこそ、商品力での集客が重要です。
ただ、おいしいもの、質の良いものを作ればお客様がくるわけではないのです。店の独自性が必要です。ただし、独自性といっても、ないものを作るのではなく、馴染みがあるもので、さらには売れ筋の価格であることが必要です。それが飲食店の集客につながります。
「独自性ある商品開発」と「ネーミング」、またここではほとんどふれていませんが、「実演」も重要な要素です。ぜひ取り入れてみてください。
五感コンサルティンググループ 高木雅致